Ren

バグズ・ライフのRenのレビュー・感想・評価

バグズ・ライフ(1998年製作の映画)
3.5
なぜか話題に上がらないピクサー長編2作目。世間的には不発に終わったという見方が多数派っぽいけども、個人的にとても好き。

バッタに頑張って集めた食物横取りされたら敵わん....隣国から強そうな助っ人(虫)連れてくるわ....英雄だと思って連れてきたらその虫達の正体は売れないサーカス団だった....。
リアルを追求してきたピクサーが脚を4本にするという嘘をついてまでデザインしたアリのキャラクター達は、引きで見た時には昆虫が蠢くイヤな感じを残しつつ、アップでは虫嫌いの方でも(多分)見られるポップさに仕上がっていると思う。

物語の構造は至ってシンプルで、簡潔に言えば弱者と負け犬の逆転劇。悪役が昨今のピクサーでは逆にお目にかかれなくなってきた「いかにもイヤなやつ」なので、終盤の爽快感は格別だ。

台詞もいちいち小気味良くて楽しい。バッタのホッパーが中盤に見せる熱い口上は、反乱を起こす集団を煽るリーダーとしての威圧感を一発で分からせるし、そして何よりフリックが言い放つ渾身の「アリはバッタの僕(しもべ)じゃないんだぞ」が超かっこいい。彼を火種に、虐げられてきた者たちの反逆が始まる。

登場する虫たちの個性もしっかり出ており、天災や天敵など虫の世界に存在しうる危険もスパイスとして上手く作用している。まだ2作目にして、非常にピクサーらしいよくできた脚本だと思う。

プロットは『七人の侍』も参考にしたらしいのだけどそちらは未観賞のため何とも言えず。両作視聴済の方がいたら、類似点があるのか聞いてみたい。
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