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息もできないのkatsuのネタバレレビュー・内容・結末

息もできない(2008年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

ヤン・イクチュンの長編映画監督デビュー作。初監督とは思えないほど素晴らしい完成度である。当時の韓国の社会背景を色濃く映し出し、愛を知らずに育った獣たちの愛の物語を描いている。

サンフンとヨニの絶望の内に惹かれ合う何とも言えない距離感を巧妙に表現しているヤン・イクチュンとキム・コッピの演技力が凄まじい。

特に夜の河辺で初めてサンフンがヨニに弱さを見せるシーンは堪らない。どう生きりゃいい?って、本当にギリギリで生きてきたその表面張力が潰えた瞬間の溢れた様が美しく映し出されている。

そしてラスト付近の時系列操作に戦慄した。一度サンフンの死を乗り越えてまた日常に生きる彼らの姿を見せてから、サンフンの死を嘆き絶望する様を挟みまた日常に戻すという、何とも冷徹な時系列によりサンフンの死をより強烈に印象的に観る者の脳に焼き付けている。
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