フワッティー

四季を売る男のフワッティーのネタバレレビュー・内容・結末

四季を売る男(1971年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ファスビンダーが結婚生活を扱い始めた作品。ハリウッド式のメロドラマを受容しつつ、抑圧的な社会構造がバックボーンに見える構造。ファスビンダー映画は人物が少なく、その分コミュニティが小さいのも、比喩的要素を分かりやすくする。

ハンスは手を汚したい・汗水流して働くことを美徳と感じ、労働者になることを望む。学歴などを重視する親と対立し、結局外人部隊に入隊する。後半、自身の重病を機に、果物販売員から企業家に昇格するも、空虚な気持ちと向き合う羽目になるのはこのためだ。

また、過去の挿入が唐突で、映像のタッチも一切変化しないため、会話の内容で判断せざるをえない。分かりにくくする要素とも思われるこのはたらきも、終盤で逆手に取られ、効果的に使われる。外人部隊時代に拷問を受け、死を望んでいた姿がフラッシュバックし、今度は実際に死を迎えるという接合。

本作の社会的なメッセージであるが、這い上がることのできない市民をどう見るか、という点にある。愛を適切に受け入れられなかったハンスと、ハンスを受け入れられなかった周囲の人々。知人・友人・妻に見守られながらも、暴飲を止めてもらえなかったハンスの死に様に、決定的な社会的構造が写し出される。
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