マーくんパパ

夕凪の街 桜の国のマーくんパパのレビュー・感想・評価

夕凪の街 桜の国(2007年製作の映画)
3.9
地獄絵のような凄惨な状況を目の当たりにして生き残った人々、生き残ってしまったのが申し訳ない気持ちといつまで生きていられるか不安にかられる気持ちが混然となりその話しを忌避して暮らす広島の人々。その日常を象徴した女湯風呂の洗い場シーンが目に焼き付く。“長生きしてね”と言葉を残し背負った背中で息を引き取った妹、それでも好きな人と添い遂げられずに戦後10年経って亡くなる姉の皆実。疎開していて被爆せずにすんだ弟旭は被爆した娘と結婚したため子供たち(七波と凪)が被爆二世として偏見の目が向けられないように住む場所変えながら暮らす。そして皆実の50年後の命日に家族に黙って広島を訪れる旭とこっそり深夜バスに同乗してつけていく七波。受け継がれた白い簪と家族の系譜の原点に思い至る七波…。平和なこの国の今でも戦争&原爆の負の体験を背負って生きている人々がまだまだ多くいることに思いを馳らせる映画。