あしからず

そして人生はつづくのあしからずのレビュー・感想・評価

そして人生はつづく(1992年製作の映画)
4.0
1年ぶりに。セミドキュメンタリーでメタフィクションという構成の厄介さと映像の素直さがとてもキアロスタミ。イラン地震で「うち」を失った人々との交流で生を浮き彫りにしていく俯瞰的な視線はスーパーロングショットに現れる。どこまでが演出か分からないけど崩れた壁の向こう側で輝く緑はどうにも印象的。生も死も神の采配とする村人にあくまで自然の摂理と説く少年の静かさ。イラン人のサッカー好きが微笑ましい。
他作品を観ても思うけどイランの自然ってとても良い。西洋の自然とは違う、なにか日本に近いものを感じる。
だからこその小津愛かもしれないが、途中の車視点のカメラがめっちゃ「有りがたうさん」。清水宏の自然主義と小津の計算高さを持つハイブリッド・キアロスタミ。
タイトル通りのラストのロングショットが染み入る。
あしからず

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