キアロスタミ監督の良心を感じました。
1990年のイランの地震の後に、前作『友だちのうちはどこ？』で主役を演じた少年と舞台になった二つの村の人々の安否を確認しに行くセミドキュメンタリー。
山の奥深い村までいける道は渋滞や山崩れで険しい道しかなく、途中途中で出会った人達から地震の話を聞き、少年と村の安否を尋ねながら村に向かいます。
あの階段と坂だらけの村は土造りなので崩れて下敷きになり亡くなられた方多数だと聞かされます(イラン全土で4万人)。
瓦礫の山、屋根のない家、無惨な町の映像が続きます。
でもしばしホッとする風景がありました。緑の山肌とオリーブの林は変わらず、優しい風を運んでいました。
キアロスタミ監督の作品は素人を起用しても演技と台詞はあり、監督を演じる人も居ます。前作の出演者や途中で出会った人に地震の詳細を聞きますが、被災した話の内容は出来ればフィクションであってほしいです。これは本人の実話では辛くて話せないはずだから。
あの少年は本当に本当に無事だったのか最後にしっかり確認したかったです。
