かたゆき

美しい人のかたゆきのレビュー・感想・評価

美しい人(2005年製作の映画)
3.0
罪を犯し、刑務所に服役中の37歳の女性サンドラは、幼い娘との面会だけを希望に生きていた。
夫と共にこれから幸せになろうという妊娠中の人妻ダイアナは、ある日の買い物中に偶然かつての恋人と再会する。
父との深い確執を抱える黒人女性ホリーは、そんな父親と決着をつけるために意を決して実家へと帰ってくる。
自己中心的な夫と一緒に金持ちの友人宅を訪れたソニアは、その日も案の定大喧嘩となってしまう。
愛が冷め切った両親と暮らすティーンエイジャー・サマンサは、自分の将来について悩みを抱えていた。
元夫の新たな妻が自殺してしまったローナは、色々と葛藤を抱えながらも葬儀会場を訪れる。
不倫相手と共に小さなモーテルの一室へとやって来た中年女性ルースは、隣室の女性が警察に逮捕されるのを目撃してしまう。
乳癌を患い、今まさに乳房の切除手術を受けようとしているカミールは、押しよせる不安に押し潰されそうになっていた。
そして、祖母と共に死んだ母親のお墓参りにやって来た幼い少女マギー、彼女は人の生と死というものを少しずつ理解しようとしていく――。
9人の様々な女性たちのそんな苦悩に満ちた十数分のドラマを美しい映像でもって切り取ったオムニバス作品。

なかなか豪華な役者陣を揃え、そんな短い作品を全て編集なしのワンカットで撮るという、カメラ畑出身のこの監督らしい意欲作でありました。
確かに緻密に考え抜かれたであろう流れるようなカメラワークはとても素晴らしかったです!
若干パンチに欠けるとはいえ、それぞれのお話も人生の悲哀と喜びを瑞々しく切り取っていて素直に良かったと思います。

ただ、個人的にあまり好きになれないお話が何個かあって(特に、妻の葬儀会場なのに再会した元嫁に縒りを戻してと縋りついちゃうウザいヘタレ男の話!)、そこがちょっとマイナスでした。
それに、アマンダ・セイフライトの胸の谷間を強調したカメラアングルは、男としてはもちろん嬉しいのだけど、今作のテーマには完全にそぐわなかったですね。
総じて、映像が美しい映画ではあったけれど、いまいち共感出来る部分が少ないオムニバス作品でありました。
かたゆき

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