かたゆき

50/50 フィフティ・フィフティのかたゆきのレビュー・感想・評価

3.0
「母さん、落ち着いて聞いてくれ。実は僕、癌なんだ。2日前に分かった。でも、大丈夫。ネット情報だけど5年後の生存確率は50%、カジノなら楽勝の勝率だよ、きっと生き残ってみせるさ」――。
ラジオ局に勤める働き盛りの27歳の青年アダムは、愛する彼女や友人たちと充実した日々を送っていた。
だが、ある日彼は、医師から重度の癌を患っていることを知らされるのだった。
突然のことに、もちろん動揺を隠せないアダム。
それでも彼は、周りの心優しい友人や恋人、セラピストの励ましを糧に、持ち前の楽観的な性格からなんとか前向きに生きようと試みる。
施設から捨て犬を引き取ってみたり、思い切ってスキンヘッドになってみたり、自虐ネタで女の子をナンパしてみたり…。
だが、そんな気丈に振舞うアダムも、とうとう癌という病と真剣に向き合わざるを得なくなってしまう……。
若手脚本家が実際に体験したそんな重い事実を、反対に終始軽いタッチで描いた闘病物語。

うん、評判どおりなかなか良かったですね、これ。
まるでポップアイドルグループのPVのようなセンス溢れる映像と軽快な音楽でこんな暗いお話を、ちゃんと現実の理不尽さを直視しながらも最後まで小気味よく見せきるこの監督と脚本家の手腕は素直に素晴らしいと思います。
若い女性カウンセラーとの恋愛描写もちょっぴりご都合主義っぽかったけれど、医師と患者との間で揺れ動く彼女のいじらしい姿にはけっこう胸キュンでした~。
反対に、あの浮気しちゃう主人公の彼女のいかにもビッチって感じの描き方は、脚本家の相当の私怨が込められてますね(笑)。
なんだか、同じくゴードン・レヴィット主演の男目線ラブストーリーの佳品『(500)日のサマー』を思い出しちゃいました。
総じて、世に溢れ返る薄っぺらいお涙頂戴の闘病物語とは一線を画する、軽さと重さの間を絶妙のバランス感覚で描いた人間ドラマの秀作であったと思います。

ただ…、主人公の親友であるカイルがあまりにもデリカシーのないやつ(こいつ、ホントに女とHすることしか考えてねーんじゃないのって何度も突っ込んじゃったし!笑)で、いまいち僕の好きになれないタイプのキャラクターだったんで、そこだけちょっぴりマイナスっす。
かたゆき

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