b

王立宇宙軍 オネアミスの翼のbのレビュー・感想・評価

3.8
1950年代の地球に似ている「もうひとつの地球」にある「オネアミス王国」正式国名「オネ・アマノ・ジケイン・ミナダン王国連邦」を舞台に人類初の有人人工衛星打ち上げを目指す戦わない軍隊王立宇宙軍を描いたSF作品。
来年には続編である『蒼きウル』の公開も決まっております。

この作品台詞がとにかく良い!
途中本作のテーマを端的に表した二種類の神話が語られる。
"火の時代"
「神が人を造られたとき人は他の動物たちと同じく、火を与えらることはなかった。神は火によって永遠に生きられた。‘ダウ’はその燃えるたきぎを拾いあげると一目散に逃げた。
しかし、釜戸の守はあらかじめそれを知っていたので火には呪いがかけられていた。
これが死の始まりであるダウの前に神は現れそして予言された。人よあなたは呪われてしまった。
あなたの子孫は争って奪い合い、苦しみながら暮らすだろう。
そして災いは地の果てまでも広がり、ひとりが何度でも殺されるだろう。」 

"炎の町"
「炎の町、息子よ、あなたはただちに市場から立ち去らなくてはならない。
ここではすべての善良なものが血でけがされている。
神は沈黙を保てないだろう……。
不浄の町は炎によって造られたのだから、滅びも炎によって行われる。
悪から生じたものは決して善にはならないのだ。
だから息子よあなたも備えなければならない。すべてが罪なのです。神はこの地を見て言われた。人々の罪は大地を沈めてしまうほどだと……。
私たちは……私たちは祈ること意外に何ができよう。祈りは小さな点であり、祈りはすべてである。祈ることほど謙虚なことはなく、祈ることほど偉大なことはない。」
この2つの神話は火、炎=文明の象徴として解釈出来る。

「文明が戦争を作るのではない、戦争によって文明が作られた」
この台詞に対応する↓の台詞含めその展開は感動的。

「どうかこの放送を聴いている人、お願いです。どのような方法でもかまいません。人間がここへ到着したことに感謝の祈りをささげてください。どうか、お許しと哀れみを。我々の進む先に暗闇をおかないでください。罪深い歴史のその果てにはゆるぎない一つの星を与えておいてください。」

文明と戦争、人間の罪悪など哲学性に富んだ台詞の応酬。言い方は悪いがオタクに媚びた『トップをねらえ!』の方がボンクラの自分としては、圧倒的にエンタメしてて好みではありますが、本作は硬質なSFとして楽しみました。

台詞を引用するだけでレビューが出来ちゃうありがたい映画でした。ハイ。
b

b