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ファイト・クラブのhatraのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.8
オールタイムベストの一本。
オープニングからフィンチャー節全開の映像と音楽、最高。
演出の格好良さはさる事ながら、武骨で尖った物語は唯一無二。
フラストレーションが溜まる程に効くデトックス。

家にあるもので爆弾は作れる。お前が爆発する為に必要なものも既にお前が持っている。爆発しろ。怒れ。
怒ると眠くなるなら「目を覚ませ」。そして怒れ。そうやって叫ぶ映画。


「お前は物に支配されている。」
「我々は消費者だ。ライフスタイルに仕える奴隷。」

現実を生きるため人々は本当の自分から目を逸らす。
そうして自分を騙して常に、相反するものが隣り合う。

怒りと眠気。
無気力でありながら有り余るエネルギー。
人生はクソだと思いながらも懸命に社会にしがみつく。
やりたくもない仕事にやり甲斐を見出す為、要りもしない高級家具が必要だと自己催眠する。
しかしその身一つになってやっと見える自分の本懐。

この世には血を流して初めて、誰かを殴って初めて、やっと生きていることを知る一匹狼たちがいる。
時代が違ければ戦争の英雄だったかもしれない男たちが、持て余した怒りを拳に、たどり着いた居場所が『ファイト・クラブ』。

ファイト・クラブはどこにでもある。
狼が遠吠えをするように、誰かが叫べば遠くで続く。
社会では見向きもされない弱者が、破壊と爆発で叫びをあげる。

そうして制御を失った野生の怒りはやがて革命の狼煙をあげる。
もう知ってしまったから戦うことでしか生きられなくなった男たち、
全てのタイラー・ダーデンのための映画。
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