JiroFujita

ファイト・クラブのJiroFujitaのレビュー・感想・評価

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)
4.5
初見当時は北欧家具もスタバも自分には憧れの対象だったし、豊かな生活を捨てて無秩序な行動に突っ走る主人公の心情に全く共感できなかったが、同時に他の娯楽映画とは違う衝撃とどこか危うい魅力にハマったのを覚えてる。

今回久しぶりに再視聴。
日々の生活にどこか満たされず、生きてる実感(安らかな眠り)を求めて夜な夜なセラピーを彷徨う虚しさ、カリスマ性溢れるタイラーの登場により活力を取り戻していくワクワク感、やがて一線を超えて過激化するクラブへの恐怖と疎外感、真実に気付いた時の衝撃..と主人公と共に心情の移り変わりを体験できる巧みなストーリー展開にあらためて魅せられた。

この作品が公開されたのは同時多発テロの少し前、まだスマホどころかガラケーさえ広まってなかった時代。当時、加速する消費社会の危険性を捉えてアンチテーゼを掲げた本作のメッセージを受け止められる人は少なかったと思う。
それでも時代を見越してこの尖った作品を世に出した作家と監督のセンスと行動力にただただリスペクト。
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