ABBAッキオ

悪人のABBAッキオのレビュー・感想・評価

悪人(2010年製作の映画)
4.0
 2010年李相日監督。吉田修一原作の映画化。今の自分の状況から這い上がろうと必死な者が、恵まれた者から蹴落とされ、マスコミの好奇心にさらされ、そうした者同士で対立し、また肩を寄せ合う。この作品後、『凶悪』や『愚行録』など日本映画の多くの素材となるテーマをはじめて映画化した作品ではないだろうか。妻夫木聡、深津絵里、満島ひかりの熱演が光り、柄本明、樹木希林といったベテラン俳優が助演で支える。特に妻夫木は「来る」などにも見られる、外面はいいが内面に闇を抱える役柄への適性を示した。暴力が暴力の連鎖を生むのではなく、最後には多少の希望を見せて終わるのは救いと受けとっていいだろう。
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