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自由の代償のnyakoのレビュー・感想・評価

自由の代償(1975年製作の映画)
4.0
ファスビンダー監督自ら主演・監督した作品。
資本主義の話…と目にして難しい話なの?ってちょっと腰が引けたけど、『苦い涙』にも描かれてた愛に隷属する話でもあった。
製本業の会社を父と共に経営する男、オイゲンは主人公フランツを下賎な男と蔑んでいたが、フランツがロトで50万大当たりした男と聞いた途端、現金にもすぐに恋人関係となる。

金を奪われてポイよ、のセリフに嫌な予感しかしない。
無学とやたら連呼され、どうしてああも愛の前で無防備になってしまうのか。
そして上流階級を嫌いながらも強く憧れずにはいられないフランツ。
そこには救済のカタルシスはある訳なく…現実だってそうなのかもしれない。

『マルタ』で恐ろしい夫を演じたカール・ハインツ=ベームのやらしそうな目つきはここでも健在!
(ここでの役は主人公と恋人との橋渡し役)
品定めしてるような目つきがものすご〜くうまい。

オイゲンとフランツ、二人のモロッコ旅行は華があったなあ。
無常なストーリーながら、温かみもあって…。
あの花屋の青年がフランツに見せる優しさ。滲みるなあ。。
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