アルファベットのAから順番に出てくる文字が印象的な冒頭クレジット。
殺し、窃盗、昔の愛人との、小説を書きながら、朗読しながら、退屈な現実からの逃避行。
「映画には愛と憎しみとアクションと暴力がある。そして死も。つまり感動だ」
という冒頭の映画監督の台詞がこの映画全体を示唆している。
人が死んだというニュース、写真のキャプション、タグ付けされ表面化した瞬間にその裏側を垣間見ることはできない。
「一生私を愛するなんて約束しないで。
未来に続くかわからない愛だから。」
「あなたは言葉で語りかけ、私は気持ちで見つめてる」
「人生とはいわば未解決のミステリー」
愛は一生続かなくとも、いまを続けることはできる。人生ははかなくも美しい。人生は25億秒、その人が何者か分かるなど難しい。いたって詩的で哲学的で、やかましいほど語りかけてくる。人生ははかなく、どうでも良く、断片的で、それでいて続いていく。そして死は唐突だ。愛人を射殺し、ダイナマイトを顔に巻いて自害する、ニヒリズムやナンセンス、狂気を携えた、刹那と永遠の狭間、そのグラデーションを感じさせてくれる映画。
詩の朗読、美術絵画のカット挿入コラージュ、視覚的なテンポが印象的。裸婦のポスターの胸と尻にダーツの矢が刺さってるのいいな。