1984

気狂いピエロの1984のレビュー・感想・評価

気狂いピエロ(1965年製作の映画)
4.2
ゴダールは『勝手にしやがれ』に続いて二本目。『勝手にしやがれ』を見ても"脱構築映画"っていう評がいまいちピンと来なかったんだけど、本作で腑に落ちた(たぶん)。

いわゆる一般的なリアリズム作品の場合、キャラクターやセリフ、テーマに先立ってプロットがある。プロットが容れ物で、テーマや人物はその中味。中味は容器からはみ出さないのがルール。

だけど『気狂いピエロ』はその容れ物をどんどん壊していく作品だった。
出来事と出来事のつながりはあいまいだし、展開は合理性に欠ける。登場人物たちもプロットに合わせず突拍子もない行動を取る。だから見ている方はひたすら困惑する。
つまりこれは、ストーリーっていう容器の構築ではなくその既成概念の破壊を楽しむ映画。

それではその中味の方、テーマはなんだったのかというと、私はこれは男女の関係における"粋"を表現しているのかなと解釈した。執着しない、重くなりすぎない、恋の成就と失恋のどちらにも向かわない、軽やかで音楽的な愛の形。

ちなみに粋ってなんだかあやふやな言葉だけど、九鬼周造氏の"媚態でありながらなお異性に対して一種の反抗を示す強みをもった意識"(『「いき」の構造』からの抜粋。タイトル通り"いき"を定義しまくるとても良い本です✨)が、私の中ではこの場合の粋のイメージ。
つまり男と女のアバンチュールですね(適当🤪)www

最後にもう一点、マリアンヌのファッションがもう、ワンピースもスキニーパンツもとにかく全部かわいかった。小悪魔的猫目女子、目の保養だー🥰
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