このレビューはネタバレを含みます
締めが良いとそれだけで映画の印象がグッと上がる、と感じた映画。
歴史を刻んだヒトが作る映画ゆえか、過去の栄華にすがる老人達の描写が自虐的に見え、マスターベーションを語る老人の茶目っ気は、アメリカの老人の俗っぽさを感じた。若者を小猿のようにワメく存在として扱う辺りも、老人の驕りを感じてしまう。
然しながら、自らをあれだけ落として落として、醜く弱く描いた本作の前半から中盤に比べ、クライマックスでの神がかった銃撃戦は見事で、そのギャップにやられてしまった。
横でキッドがワメき散らす中での銃撃戦の緊迫感のなさたるや、まるで週末のキャンプにきた親子のよう。に比べて、最後の酒場での戦いは、それまでのレオーネ×イーストウッドのドル箱三部作を彷彿とさせる緊張感が空気を埋めていた。
賞金のために平気でヒトを殺してきた名無しの彼は、もういない。西部劇の終わりと共に、ヒーローは闇に消えていく。否、元々ヒーローなんてものでは無かった、人殺しの終着点は地獄一点に尽きる。