8Niagara8

モダン・タイムスの8Niagara8のレビュー・感想・評価

モダン・タイムス(1936年製作の映画)
4.5
チャップリンの中でも印象的なシーンが多い作品。
卓越したユーモアセンスが先行する前半はめちゃくちゃ笑えるし、ノンバーバルでのチャップリンの並外れた表現力に唸る。
勿論全編風刺で一本筋が通っていて、モダニズムや大衆社会への真っ向からの批判。
思考停止的な態度は民主主義社会でも通底したものがあり、大衆の陥る闇が伺える。
そのカウンターパートとしての役回りを一手に引き受けるチャップリン。彼こそがメッセージを一身に担う。これが素晴らしい。
現代をもってしてもその精神性は感服するものである。
オープニングとラストのカットが特にいい。
映像的なエネルギーを持っていながら、これだけでクリティカルなのである。
社会、集団の中に居るとその波に押し流され、翻弄され、目の前のただ一人さえ見えなくなる。それでもそれに気づくことが人間の根源的幸福であるはずだ。
8Niagara8

8Niagara8