Violet

モダン・タイムスのVioletのネタバレレビュー・内容・結末

モダン・タイムス(1936年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

監督・脚本・制作・主演・作曲がチャールズ・チャップリンって本当に天才過ぎない?
そしてなんといってもアクション!ボルトを締め続ける動きは思わず笑っちゃうしローラースケートのシーンはめちゃめちゃハラハラさせられた。あれがスタントマンなしってどういうこと?絶対スタントいると思っていた。

もちろんこれは喜劇(comedy)であるわけなんだけど、資本主義社会、主に機械文明に対する批判を示す「社会風刺」作品でもある。
チャップリンは当時からすでに機械に人間が支配される未来について危惧していた。

痛烈な社会風刺をしながらも、それを見事に笑いに変える喜劇王チャップリン。
「なぜ人々は働くのか」「なぜ生きていくのか」、それは「愛する人のため」である。そんな当たり前でシンプルだからこそ忘れがちな人として大切なことを思い出させてくれる名作。

Smile(歌詞は後に付けられたらしい)
Smile what’s the use of crying. You’ll find that life is still worthwhile if you’ll just smile.

▼A factory worker: Can’t stay a little longer? I’m so happy here.
工場でネジを締めるという単調な作業を延々と行なっているうちに頭がおかしくなってしまう様子や、毎食ご飯の食べられる刑務所生活から離れ難くもっとここにいたいと言う台詞など、最大の皮肉が含まれているにもかかわらず、なんだか可笑しくて笑ってしまう。

▼It’s paradise!
Of course, it is not Buckingham Palace.
床に穴は空いているわ屋根は壊れているわドアも外れているわのおんぼろの空き家を見つけてこう表現した浮浪少女(ポーレット・ゴダート)の言葉に胸を打たれる。
「大切な人と暮らす生活」それこそが幸せであり、その場所がどんなにおんぼろでもそこはパラダイスで、比較対象はバッキンガム宮殿にまでなってしまうのだ。
ふたりの純粋さを感じるシーンで好き。

ポーレット・ゴダートは当時チャップリンの妻(3人目)だったようで、ふたりからにじみ出る雰囲気はそのためかと納得。

▼What’s the use of trying?
Buck up-never say die. We’ll get along.
ふたりが手をつなぎ歩き出すラストシーンも印象的。
バックで流れるSmileに心を震わせ、素晴らしい作品に拍手した。

▼ジョーカーとの関連
さてなぜこの映画を見たかというとJOKERを鑑賞して劇中でこのModern Timesが流れていたからである。SmileはJOKERでも何度も流れた。

JOKERではModern Timesのオマージュがいくつもあるが、すべでシニカルに描かれている。人生そんなに甘くないんじゃないの?と。

•JOKERでアーサーが最後に「血で口角を上げるシーン」は、チャップリンが作品の最後で、少女に「ほら、笑って」とジェスチャーするシーンのオマージュである。
•Modern Times ではHappyやHappinessという単語が頻出しており、JOKERではアーサーは母親からHappyと呼ばれていた。
•チャップリンの名言:
“Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot.”
(人生はクローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇である。)
アーサーの台詞
“I used to think that my life was a tragedy, but now I realize, it’s a comedy.”
「俺の人生は悲劇だ。いや違う、喜劇(comedy)だ。」
これも関連してそう。
Violet

Violet