ユースケ

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのユースケのレビュー・感想・評価

4.3
高橋留美子先生と押井守監督っていう大好きな2人の作品だけど大問題作。現代に沢山あるループ物の元祖で、いわゆるドラえもん形式に日常を繰り返すアニメのキャラクターが繰り返す日常に気がつくっていう斬新過ぎる内容。でも繰り返す日が「文化祭の前日」っていうのが妙にリアルで共感してしまう。普段の部活が無く、遅くまで学校にみんなと居る非日常感、文化祭が始まるとそれはもう終わりに向かってしまっているけど前日はまだ何も始まっていないもんなあ。というか好きと言わない(当日を迎えない)美学って高橋留美子先生リスペクトな感じもするんだよな。友引高校の雰囲気もコクリコ坂のカルチェラタンを思い出す。

原作特有のドタバタ劇もあるけど、押井守監督のハッとさせられる刹那のシーンやホラーシーンのセンスが光る。ラムちゃんが最初に出てくるシーン、風鈴のシーン、荒廃した世界でのバカンスとか。意味不明な展開が続くけど後から見れば夢なので整合性がある。こういう所もギャグ漫画のアンチテーゼとも取れるよな。

何より純粋無垢なラムちゃんの美しい夢も他の人が巻き込まれると廃人寸前になるってのがおどろおどろしいところ。ラムちゃん=ビューティフル・ドリーマー。

この作品の内容はどう考えても好きだけど、問題作と言われる理由は高橋留美子の作品にも関わらず、押井守的に最終回を描いたことにあるよなあって思う。最後のあたるのセリフなんかは物語の確信に迫るものだし。って頭で分かってても最後のあたるとラムちゃんのシーンは本当に心動いた。

「責任取ってね」

高橋留美子のうる星やつらとしては反則、押井映画としては上質。押井守はラムちゃん(高橋留美子)に責任を取ったのかな?もう流石に時効かな?(結局怒ってなかったらしい)
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