Cisaraghi

デルス・ウザーラのCisaraghiのレビュー・感想・評価

デルス・ウザーラ(1975年製作の映画)
5.0
ン十年前、初めての黒澤明はこの映画だった。高名なのは知っていたけれど、この映画を観たことで黒澤明は私にとって全幅の信頼が置ける大好きな映画監督になった。そして、ロシア(当時はソ連)の沿海州地方に大いなるロマンを感じるようになった。

今回二度目の視聴だが、幻滅させられる部分はなく、今観ても素晴らしい映画だったことが嬉しい。実話に基づく話なので、文明から離れてタイガで自然と共生するデルスの生きるための知恵が、自然の理にかなっていて実用的。昔観た時は、当時走りだったエコロジー的な考え方が背後にあるように思った。

カピタン!とデルスが一緒に写った数々の写真が何とも言えず微笑ましい。細かい部分はほとんど忘れていたので、デルスゥー!という耳に残る哀切な呼び声は、こんなところで使われていたのかなど、思っていたのと違う点もあった。カピタンは、デルス・ウザーラではなくデルス・ウザラと呼んでいた。

日本人監督の映画ながら、ロシア人の素朴な温かさ、大自然の厳しさ美しさが描かれているロシア映画でもあるけれど、今回、デルスが醸す哀しみは、『東京物語』の笠智衆に通じるものがあるように感じた。

思い入れの深さで5点満点。

カピタンことアルセーニエフの著作も読んでみたい。
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