パン

マンダレイのパンのレビュー・感想・評価

マンダレイ(2005年製作の映画)
4.5
映画ドッグヴィルの正当な続編。
グレース役がブライス・ダラス・ハワードに変更に…
まあ前作のニコールキッドマンとは雰囲気変わったけどこれはこれで悪くないなと思った。

「母親が長男を叩き、長男が次男を、次男が三男を殴る。そして末っ子の三男は欲求不満の解消に近所の少女、クレアを虐める」
まんま弱肉強食な現実の世界そのものな構図だ。

ドッグヴィルでは人間の心の底にある貧しさ(経済だけでなく)や人間の本質に焦点を当ててたが、本作マンダレイでは義憤から来る人間の身勝手な正義感に焦点を当ててる。
まさにポリコレ主流の昨今のアメリカにこそ刺さるようなテーマじゃないだろうか?

まあそれを言ったらアメリカという国家がそもそも余計なお世話なことを散々やってるよね。
世界の警察であるかのように紛争や戦争に参加して。
アメリカという国の成り立ちや国民性を考えたらその理由もわかるが。

この映画では元奴隷の皆さんが「その気になれば出れますよ」と衝撃的な発言をする。
奴隷=可哀想という私たちの持っているこの先入観こそがこの映画のテーマだろう。

ただラストの言葉もそうだがこの映画トリアー作品にしては珍しく説教臭い気がしたな。
他の作品はこんな丁寧に全部説明するスタイルじゃなく視聴者に考えを委ねるようなスタンスなのにね。

改めてトリアーの才能を感じる映画ではあったし面白かった。
ドッグヴィルが良かった人は是非こちらも鑑賞して欲しい。
本当は更なる続編、ワシントンが制作される予定だったそうだが中止になったっぽい。残念でならない。
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