ドッグヴィルの続編にしてアメリカ三部作の2作目。前作と同じ世界観を引き継ぎ演劇風の線を引いただけの簡易的なセットなんだが、これが前作ほど効果的に機能していないし、全くストーリーと調和していない。テーマが黒人差別と民主主義で前作より明確になっている分、物語の厚みが無くなった。グレースのキャラがかなり変更されていて違和感あり。薄っぺらい正義感でマンダレイの村に拘った理由は謎だし、アメリカの代表者でもない単なるギャングの娘が奴隷制度について黒人たちに謝る描写など失笑もん。終盤も想定の範囲内で前作ほどの衝撃やカタルシスを感じることが無かった。あの本に書いてある事なんて落書き程度なのに、なんでキーポイント扱いしたのか意味不明。グレース＝アメリカで、監督が世界中を民主化の名のもとに紛争を煽るアメリカ批判をしたかったという意図は理解した。
