セッセエリボー

ゼロ地帯のセッセエリボーのレビュー・感想・評価

ゼロ地帯(1960年製作の映画)
4.2
当然かなりキツい内容ではあるが、知識人たちがアウシュヴィッツの表象不可能性について侃侃諤諤するより前にこれほど正面から収容所を劇映画にしてしまってるひとがいたことに驚く。しかもヒューマニズムとラブロマンスを躊躇なく盛り込む素朴さ。汽車が収容所に到着するシーンは『列車の到着』の構図を正確になぞっており、ゴダールがのちに『映画史』で問題にする映画芸術の内包する罪にこの人もかなり自覚的だったんだなと思う。