垂直落下式サミング

ジュブナイルの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

ジュブナイル(2000年製作の映画)
4.3
夏休みを利用してキャンプに来ていた少年少女が、森に落ちるまぶしい光を目撃。そこで奇妙なロボット・テトラと出会う。彼らと謎のロボットとの交流を描いたSFファンタジー。
処女作には、作家のぜんぶが詰まってるなんてことを言うけれど、山崎貴が作品の主題としていくノスタルジアとSFとVFX戦闘みたいなのが、ぜんぶ乗っけの初期作品で驚いた。
今は、ほとんど公開されなくなってしまった子供向け映画っていうバリューも強い。サルゲッチュ、プレステ、コロコロ、ピカチュウ、ゾイドなど、こども部屋に配置されているモチーフに少年時代の匂いを感じとることができる。
プレステ2はインターネットができるらしいんだぜ。あたぷたー?がないとだめなのか。ヘンジンの電気屋に貸してもらおう!そこからまさかの小汚ない町の変わり者宅でオーバーテクノロジー登場にウキウキしてくる。ロボットのコントローラーがプレステ用なのもステキ。
壊れた友だちロボットを直して、タイムマシンで過去に送り出し円環を閉じるのは、ドラえもんのファンが作った非公式二次創作の最終回みたいな結末。
ここでのタイムパラドックス設定は、ドラ泣きよりもよく考えられていたと思う。「知ってたら、オレは絶対怠ける。」っていう吉岡秀隆のセリフは、のび太甘やかし問題への時を超えたアンサー。未来から過去へは極力過去に干渉しないように気を遣う姿勢が、歴史改変の解釈として進んでるなって気がするから、こっちの方が好きかも。てか、そこそこ山崎貴作品をみてきたなかで、最初のこれがイチバンよくできてたと思う。
突っ込みどころは多いっすけどね。町工場ならともかく研究所の職員が、夜訪ねてきたよくわかんないちっこいロボットに資材とか部品とかくれてやるのや、お調子者の慎吾ちゃんが、宇宙人に酒を飲ませて分かりあおうとするのは、ちょっと…どうかと思う。これを、アホ展開もたいがいにしろってのはオトナの意見であって、子供向けだと思ってみたら気にならないのかな。どうなんやろ?
役者たちはとても良かったし、有名なテレビタレントを多く起用しているから、今とのギャップが面白い。縁なしメガネでボサ髪のジーニアスな香取慎吾がかっこいい。若ーい!痩せてるー!太ってるとき多いけど、いい具合に絞まった身体で出演してんのがうれしい。
かわいいお母さん高木久美子。お父さんの高橋克実に髪がある!なんか懐かしいな。イトコのお姉ちゃんな酒井美紀も、犬を散歩するダボジャージ姿がかわいい。
特に鈴木杏。『ジュブナイル』『リターナー』と続けてみることで、本作ではほとんど子供だった彼女が、数年後には思春期突入した感じで再登場するから、ちょっとした親心も沸き上がってきた。『花とアリス』でみせた早熟なあか抜け具合も、ちょっとだけ思い出してノスタルジアに浸ってる。