・ジャンル
オカルトホラー/スリラー
・あらすじ
無名の役者の夫、ガイと共にニューヨークへと越してきたローズマリー
彼女は内見であるアパートの一室をいたく気に入り2人はそこで暮らし始めた
数日前に亡くなったという前の住人である老女が遺した大量の薬草、不審に動かされた箪笥、19世紀末の住人にまつわるいくつかの陰惨な過去…
怪しい点は多かったが新生活に希望を抱く2人にとっては些細な問題だった
そんな中、最初の事件が起こる
入居して間も無く出会った隣家の養女テリーが突如、飛び降り自殺をしたのだ
幸福その物で我が子の様に可愛がってくれると老夫婦に感謝を口にしていた彼女が何故?
疑問を抱きつつもその一件をきっかけにローズマリー達は隣家のカスタベット夫妻と親交を持ち始める
世話好きで何かと詮索する妻ミニーを2人は当初疎ましく思っていた
しかし夫ローマンが芝居に詳しい人物であった事からガイは夫妻に入れ込んでいく
間も無く彼は名優ボームガートが失明した事で舞台の役を手に入れ売れっ子になっていった
芝居に打ち込む一方で自身と向き合う時間を持ってくれなくなった彼に不満を抱くローズマリーだったが反省の言葉と共に子供を作ろうと持ちかけられ再び幸せな新生活への望みが芽生えた
だが子作りに励もうとした晩、奇妙な悪夢に襲われ妊娠してからも老夫婦の過干渉と共に彼女の身には目に見えて異変が起こり始め…
・感想
アイラ・レヴィンによる同名小説をロマン・ポランスキー監督が実写化した名作ホラー
正直、監督についてはマンソン・ファミリーによるシャロン・テート殺人事件絡みで名前を知っている程度で「反芻」しか観た事がない
加えてなかなかの長尺な作品なのでどんな物かと思っていたけど実際に観てみるとこれは名作と呼ばれるだけあるな、と
序盤から端々にカスタベット夫妻やその友人達、2人が紹介したサプスティン医師などにはおかしな点が多々見られる
しかし完全に囲い込まれた状態のローズマリーがすぐに不信感を抱けるはずもない
その様子が恐ろしいし真実を知ってからの彼女の孤独や苦しみがとにかく痛々しく物悲しい
正気でありながら統合失調症患者の様な恐怖を抱く羽目になっていく終盤は特に演技が素晴らしいおかげもあって迫力があった
また恐怖の発端である悪魔によるレイプのシーンも裸の老人達に囲まれる様子がおぞましい空気を放っていて印象的
その後の展開も良いんだけどだからこそ惜しかった部分もある
それはラストの悪魔崇拝者達に全てを明かされる場面での信徒達の振る舞いがややチープだった点と悪魔の子の姿を見せてくれなかった事
特に後者はレイプシーンで悪魔を部分的に見せていただけに勿体なく感じた
そこは見せるべきでしょ…
そうしていればローズマリーが下す決断の恐ろしさもより強烈になっていただろうし…
そういった事はありつつも全体的に狂気に囲まれる閉塞感は見事だったので間違いなく観るべきクラシックホラー作品ではあった
監督の他の作品も今後観ていきたい