大人の秘めたる恋愛でした。
過去、想いあっていた二人がある事件をきっかけに別離し、しかし、お互いを毎日のように見かける距離で数十年暮らしている。言葉は交わさない。ただ、目の端にその姿をとらえ続けるだけ。
鳴かぬ蛍が身を焦がす。と言う言葉がしっくりくるような二人の抱擁。
ラストは、ちょっと、「なんで!」と、思いましたが、自分の気持ちを押さえて、静かに静かに生きてきた田中裕子が、その分を補うかのように読書でドラマチックな人生を疑似体験したのだなあと思わせるような本棚を静かにとらえたショットは良かった。
ただ、静かに、彼女は今日も本を読む。