ディグ

インディアン・ランナーのディグのレビュー・感想・評価

インディアン・ランナー(1991年製作の映画)
5.0
「居心地がいいと怖くなる」

そんな気持ちに
なったことは
ありますか?

たくさんの友達に囲まれ
素敵な家族や恋人に
恵まれて
青春を謳歌してきた人には
なかなかわからない
感情かもしれません。

しかし
小学校や中学校で
イジメにあったり
蔑まれて生きてきた
経験があると、
幸せなある日
ふと思います。

「居心地がいいと怖くなる」

こんなクソみたいな
人生だった自分に
幸せな時間があるなんて
不思議だし、夢みたいだ。
失ってしまうことばかり
考え、そして…怖くなる。

この映画の主人公は
多くは語りませんが
ベトナムの戦場で
きっとものすごい
クソ地獄を味わって
きたのでしょう。
だからいまある
手の届きそうな幸せを
信じることが出来ないし
いつか失ってしまいそうで
怖いのだと思います。

この気持ちがわからないと
観ていて、主人公に
共感できないかも
しれません。
彼はなぜ、幸せな家庭を捨て
自ら全てをぶち壊すのか?

PTSDとは
そういうものだと思います。

こんなにも
思い出すだけで
悲しくなり、涙が出てくる
切ない映画はありませんぜ。
※とか言いながら
同じように好きな作品は
いっぱいありますが。

主演のヴィゴ・モーテンセンは
はまり役だし
監督のショーン・ペンが
出演しなかったことも
良い選択だったと思います。

正直、ショーン・ペン監督作品は
この「インディアン・ランナー」
以外は、駄作だと思いますが
この作品だけは
とんでもなく光っています。
魂が入っている映画だし
商業主義的な娯楽要素も
少なめですが
死ぬまで忘れない
忘れたくない
映画体験がしたければ
おすすめです!
ディグ

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