ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト監督作。
エルンスト・ヨハンセンによる1929年発表の小説「四人の歩兵」を『三文オペラ』(1930)のゲオルク・ヴィルヘルム・パプストが映像化した戦争ドラマの名篇で、本作はパプスト初のトーキー映画となっています。
第一次世界大戦末期、1918年のフランスを舞台に、小さな村に駐屯するドイツ兵たちが辿る過酷な運命を描いた戦争ドラマで、アメリカのルイス・マイルストンによる同年の傑作『西部戦線異状なし』(1930)の陰に隠れた反戦映画です。
一次大戦を象徴する悲惨な塹壕戦の戦場シークエンスのみならず、母国ドイツの物資・食糧不足や、夫の不在による寂しさから肉屋の男と浮気する妻の不貞等、戦争がもたらす戦場以外での負の影響をも描き込んでいます。人と人が殺し合い、人々の絆を引き裂く戦争という絶対悪を、フランス西部戦線の塹壕地帯で膠着を余儀なくされたドイツ兵たちの視点で生々しく浮かび上がらせた、敗戦国ドイツが生んだ反戦映画の名篇であります。