アメリカ映画界の80年代最高の職人監督と言われるジョン・バダム。お手並み拝見とばかりに観てみた。
何で今までこんな面白い映画を観ていなかったのだろうか。スリルありアクションありロマンスありの,80's ライトサスペンスの快作である。
出来過ぎてギャグになっているラヴコメと程々なサスペンスを折衷した,一粒で二度楽しめる器用な出来映え。ポテトチップスのようなその味は,案外クセになるもんで,ここからジョン・バダム作品を次々梯子してみたくなる。
この時期の職人監督にはリチャード・ドナーやレニー・ハーリンがいるけど,『リーサル・ウェポン』以降クサくなってしまったドナーや一本調子が飽きられて凋落したハーリンに比べ,バダムは映画らしい映画を撮っているように思う。そのせいか70年代アクション映画の血脈のようなものを微かに感じる。今じゃマイケル・ベイとかエメリッヒとか,映画を観てんのかPVを観てんのか分かんなくなっちゃうアクション映画監督が多いんだから。ジョン・バダムはなかなか貴重な人である。
所謂名作名監督も良いけど,こういう優れた職人監督の作品も続々観てみたいものだ。根がB級人間だからネ。
