月うさぎ

ヒューゴの不思議な発明の月うさぎのレビュー・感想・評価

ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)
4.0
1930年代のパリを舞台に、古き良き映画の創成期を思い起こさせるお話し。

スコセッシ監督が初めて3Dに挑戦ということだったが、映像美は完璧!
いままで観た3D映画の中では最も自然で最も効果的な映像処理だったと思う。
(*2012年当時の感想です)
アクションでもファンタジーでもアニメでもない3Dの成功。

時計台から見晴らすパリの市街のパノラマビュー
駅の大時計の内部の迷路のような棲家。
鉄道駅に突進する蒸気機関車の存在感。
少年を追う犬の鼻づら。

物語のドラマ性やわくわく感と世界の広がりを感じた。

動きの速いアクションものよりも、景観や奥行を感じる、この手の表現の方に、
より3Dは向いているように私には思えた。
驚きもいつかは飽きられ、より過激な表現が出現すれば越えられてしまう。
けれど映像美は古びないでしょう。

ストーリーはシンプルで、起伏に欠ける点はあるけれど、からくり人形がミステリアスなカラーを醸し出していて惹きつけられるし、
公安係りの男の存在は多分にマンガチックだが、繰り返しのうちに人物の印象が刷り込まれ、結局は監督の手に落ちて、どきどきはらはらさせられる。
映画が終わった後も、デパートのガードマンを見ると「逃げなくちゃ!」という
気分になった位だからすごい。( ̄w ̄) 

映画愛にあふれる作品で古い映画へのオマージュでもある。
多様な映像表現が可能になった現代だが、その道を拓いてくれた先代への感謝と苦労の再評価。
そして、さらに新たなチャレンジを続けるという宣言。

ヒューゴ少年のまなざしのまっすぐさには引き込まれる。
クロエちゃんは今回は暴れない役で。(笑)
わかっちゃいるけど、いつかアクションシーンに急変するのではないかとどっかで構えていた自分だった。
制作者にジョニー・デップの名前が出てきて驚いた。
(プロデューサーとして参加)
ジョニー・デップは出演もしたかったらしい。なぜ、させてもらえなかったのかしら?
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