NYoLo

ヒューゴの不思議な発明のNYoLoのレビュー・感想・評価

ヒューゴの不思議な発明(2011年製作の映画)
4.0
映画という娯楽そのものに対する敬愛を、オートマタという心くすぐる媒体とゼンマイ仕掛けの閉鎖的な空間っていうワクワクせざるを得ないシチュエーションで、ファンタジーなしつらえながらうまく表現していると思います。さすが、巨匠。

自分の作ったオートマタと、それを直そうとしたパパと、動かそうとしたヒューゴと、パーツ集めのため盗みに入った店の店長と、その娘と‥‥。まるで歯車のように絡み合い、オートマタを動かすように全体が動き出す。入れ子のように描かれる世界の中心に、映画という媒体の素晴らしさがうまく描かれているなぁと思いました。

寸分たがわぬ時計の管理。そして寸分たがわぬ毎日を送る人々。何かのきっかけで、それがちょっと変化する瞬間がある。オートマタにとってのハートのキーだし、あの時代の映画もそうだったのかもしれない。

ただ一つ、史実かもしれないけど、そんなに絶望を感じて何もかも捨ててしまうのかと。それだけ入れ込んでいたなら燃やすことはおろか捨てることもできなかったであろうヒューゴのノートは?と、そこだけがちょっと飛躍していたかなぁと思いました。
NYoLo

NYoLo