櫻イミト

エレクトラの櫻イミトのレビュー・感想・評価

エレクトラ(1961年製作の映画)
3.5
何故こんなにスコアが低いのか?と、他レビューを見たら皆さん同名のアメコミ映画と間違えているようで・・・。

ギリシャ映画の第一人者、ミカエル・カコヤニス監督の代表作。エレクトラコンプレックス(女児のエディプスコンプレックス)の語源となった有名なギリシャ悲劇の映画化。日本では1963年にATG配給で公開。

トロイ戦争の覇者アガメムノン王が、謀略によって殺害される。娘のエレクトラはアガメムノン親とその恋人に復讐の念を燃やし弟と決起する。。。

ギリシャ悲劇の数々は後に多くの監督によって映画化される。しかし、それらが軽薄に思えるほど、本作は凄みと気迫を発していた。地元であるギリシャ人スタッフの気概のためなのか本物感を強く感じた。主演陣の目の強さとアップで捉えるカメラ。背景となる脇役はすべて凛として、特に黒衣の村の女性たちは狂言回しと様式美の役割を兼ねていて特徴的だった。また、殺害シーンの演出が即物的ではなく、実録風の手持ちカメラによる双方の表情アップ切り返し、さらにそれを見る者たちの驚愕の表情の切り返しで表現していて、品のある迫力が悲劇性のインパクトを高めていた。

娘が母を倒すという悲劇の構図は見慣れないもので興味深かった。その原因は結局は男たちの無慈悲な権力争いだった。

※本作は3部作の最終話だが公開されたのは最初

※原作あらすじ
エレクトラは、父王を殺した母に復讐するために、弟オレステースを誘惑する。英雄的な父アガメムノンの暗い運命についての思い出は、死ぬまでエレクトラが結婚することを妨げ続けた[
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