すずす

戦火のかなたのすずすのレビュー・感想・評価

戦火のかなた(1946年製作の映画)
4.4
MGM製作からはじまり、おったまげる!半分が英語!
見終えると、ロッセリーニは数ヶ国語に通じていただけに、ドラマが複眼的で素晴らしい事がよく判る。

ヴィスコンティの様に貴族らしさは無いが、ロッセリーニにある上流インテリ階級らしい冷めた世界観が私は好きだ。

6部構成の短編集で、
①アメリカ軍のシシリー島上陸作戦、
②ローマの娼婦の悲恋、
③黒人MPと泥棒少年の話、
④フィレンツェのレジスタンスリーダーの下へ向かう女性の話、
⑤アメリカ兵3名が修道院に泊まるがカトリックは一人だけで、ユダヤ教徒とプロテスタントに修道士が戸惑う逸話、
⑥葦の茂る川のレジスタンス。

黒人MPの話にムーア人の人形劇を絡ませたり、修道院で宗教対立を皮肉ったり、凡俗のネオリアリズモたちとは一線を画すモダンさ、コスモポリタン感覚が私は大好きだ。

何故か時間軸に沿わず、場所も順不同で移動していく。構成の工夫がないのが残念に思えましたが、順番の意味がわかった方、教えていただけると幸いです。

ネオレアリズモの代表作とか言うのは、今更私ごときからは云い憚られるので、止めておきますが、生々しいロケ地こそ、本作のスターである事も明白。
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