Jimmy

お嬢さんのJimmyのレビュー・感想・評価

お嬢さん(1961年製作の映画)
4.5
ラピュタ阿佐ヶ谷で鑑賞。

1961年作品であり、贅沢なカラー映画。
若尾文子の鮮やかな衣装が次々と見られるだけでなく、物語も微笑ましく楽しい映画であり、観終わった後、とっても幸せな気分になった。
三島由紀夫原作とは思えない、明るく楽しいラブコメディっぽい映画である。

空想癖のある女=かすみ(若尾文子)とおチエ(野添ひとみ)は結婚の在り方などに夢見る友人同士。かすみは、やたらと「ドラマティックな展開」を期待し、おチエは女性雑誌などから得た知識をもって出会いを期待する。おチエの『恋愛は精神的なストリップ』というセリフは粋であり、面白い。

かすみは沢井景一(川口浩)と付き合い始めるが、景一の女遊びを心配する妄想。
公園での、景一とかすみのファーストキスの場面、若尾文子の「手の演技」が素晴らしい。
また、やはり川口浩と若尾文子が主演だった『永すぎた春』に引っ掛けて、川口浩演じる景一に「永すぎた春、なんてぞっとしますからね」と言わせたあたり、通好みのセリフ(若尾文子ファン向けのセリフ)のように聞こえた。

スケートする場面では、野添ひとみの恋愛相手=牧(田宮二郎)も出てきて、4人でスケート。いつもの大映メンバー揃う。

この作品、セリフがけっこう秀逸で「ええ、川上さんってとってもいい人よ。地球と取りかえてもいいぐらいよ」とか、若尾文子にむかって「顔中、あなたの写真だらけよ」など、楽しくなる。

結局、「ドラマティック」を望んだかすみ(若尾文子)も、「静かで平和な生活がいいわ」→(川口浩)「君も案外平凡な女なんだね」→(若尾文子)「平凡な女ね」で終わる。(エンディングは、産婦人科の前。)

とっても楽しい映画で、繰り返し観たくなるが、未ソフト化作品。(当時)
後年、DVD発売されて購入して、また観た映画。

こういう心を解放してくれるような映画を観るために、映画を観ているんだ、と実感できる素晴らしい作品である。
Jimmy

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