凛太朗

お早ようの凛太朗のレビュー・感想・評価

お早よう(1959年製作の映画)
4.3
プー。
「どうだい!」
軽石を削って食って自在にオナラを出す。
そこにシビれる!あこがれるゥ!
いや、どうでもえぇわ。自在に屁ができるから何やねん?無駄すぎるわ!
そしてオナラで人を呼ぶな!返事すな!

でもねぇ、一見無駄と思えるようなことを積み重ねて、大人も子供も生きてるんですわ。
オハヨウ、コンニチワ、コンバンワ、イイオテンキデスネ。こうして出会いがあり別れがあり人間関係がある。

1959年、小津安二郎監督の映画で、舞台は郊外の長屋が沢山並んだような新興住宅地。
白黒テレビが普及してきたとは言え、まだまだ各家庭に当たり前にあるようなものではなく、高級品であり子供の憧れだった時代。
子供たちはオナラ遊びに興じたり、親の言いつけを無視してお隣にテレビを観に行き、主婦達は井戸端会議に興じ、お隣の誰々さんがどうたらこうたら。

団地妻的主婦達の井戸端会議は現代社会でも思いっきりありますけどね、アレね、ムカつくんですよね。ゴソゴソガチャガチャ喧しいわ!ほっとけや!と。
小津的台詞回しだと「嫌になっちゃう」ですかね?

ただ、そういう描写や子供達の遊びや反抗全部ひっくるめて、凄く優しくて穏やかな作品です。
小津安二郎監督作品なので、台詞回しは基本的に単調で古臭いし、カメラもローポジからの定点撮影で基本動かないんですけど、それ故なのか、今ではある年代以上の人にとっての日本の原風景を見せられてる感じになります。
私が生まれたのはこの映画が作られた20年以上後で、下手すりゃ親すら生まれてない時代のことなんですけど、凄くノスタルジックなんですよね。

基本コメディですけど、現代に対する警鐘が含まれ、またそれが当たってしまってたりもします。チャップリンの『モダン・タイムス』的なメッセージ性。

ルンペン超絶イケメン!
凛太朗

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