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ミュリエルの結婚のKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

ミュリエルの結婚(1994年製作の映画)
2.5
No.884[ぐうたら女子の小さな成長譚は正直見飽きたよね] 50点

結婚というくらいだから「フォー・ウェディング」的な結婚映画なのだろうという前提で見たのだが、結婚に取り憑かれた女の話だった。真の友情を得て成長したよ、という話はよく見る内容であって、重要なのは描き方なんだけどねぇ…

主人公ミュリエルは高校中退後ぐうたら生活を送っており、友人の結婚式でブーケを取るとバカにされ、市議会議員の父親には他の兄妹同様バカな子供たちの一人として馬鹿自慢の一つに使われる始末。ここまでの”ぐうたらぶり”だと擁護のしようがない。デブでブスで身だしなみもだらしないミュリエルは友人集団(と呼べるか微妙)から見放されるが、思いがけず再会した高校中退組のロンダと意気投合し、父親の口座からお金を取って都会で暮らすことにする。しかし、ロンダがガンになった影響で下半身不随になってしまうのだが、そんなことお構いなしに自分のことしか考えていないミュリエル(シドニーでマリエルに改名)とロンダの間には溝ができ始める。結局、ロンダと別れ、偽装ではあるものの念願の”結婚”にたどり着いたマリエルだったが、父親の浮気や母親の死に直面し、自分に正直に生きていくことを決めるミュリエルだった。

初期~中期のミュリエルは結構なクズなのだが、どうみても父親と母親の接し方が悪いので嫌悪感よりも同情が先に来てしまう。しかしその後、自分に素直になることを決意するのだが、父親の浮気やら母親の死やら残されたぐうたら兄妹の世話やらと、やたら濃そうなエピソードが続くにも関わらず案外あっさりしていたから、過程がうまく伝わってこない。それに、残りの兄妹が一ミリも成長していないのと、それをミュリエルが全く気にしていない点、彼女も成長していないのではないかと疑ってしまう。あんまり成長していない感じは”これぞ人生”って感じなのかもしれないが、映画の主人公くらい成長してほしいなぁ。

色々考えてみたもののこれ以上書けないからここらで止めることにする。本作品は悪い映画ではないが、決定打にも欠けている。どこにも属せないミュリエルであるかのように。
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