菩薩

黒木太郎の愛と冒険の菩薩のレビュー・感想・評価

黒木太郎の愛と冒険(1977年製作の映画)
4.0
こりゃまたなんと言ったら良いものか、非常にとっ散らかってるけど凄まじいエネルギーを秘めた作品。黒木太郎を演じるのは田中邦衛だが彼が主人公と言うわけでも無い、むしろ彼を文句さんと慕う(猿に似てるから)銃一(通称:ガンちゃん)の視点で話は進んで行く。描かれるのは華やかさとはほぼ遠いど底辺の人間の生き様。文句さんは売れないスタントマン、ガンちゃんは映画監督を目指す青年(元バキューム作業員)、そのお父さん(三國連太郎)は部下を全滅させた元砲兵隊長、それに肝臓を患いながらも小心者だから酒を飲まずには仕事が出来ないゴメさん、教え子に輪姦されて心を閉ざし大量の猫と生活を共にするオールドミス(緑魔子、魔子ちゃんのちっぱい見られるよ)、中学生の癖に自らトルコに身を売ろうとすると和美、などなど曲者揃いの登場人物。臭いものに蓋をして、汚いものから目を背け、そうやって成り立っている社会にズバリと切り込んで行くような力強さを感じさせ、これが後に『生きてるうちが〜』や『ニワトリはハダシだ』に繋がって行く。森崎東の兄、森崎湊が投影された三國連太郎のエピソードがなんとも切なさを感じさせる、後はとにかく倍賞美津子の艶やかさが…乳は出ないがな。これはもうなんとも説明し難いので観ていただくしか無い、なんせ岡本喜八も出てるナイスなゲロ映画だから。
菩薩

菩薩