kkkのk太郎

イーストウィックの魔女たちのkkkのk太郎のネタバレレビュー・内容・結末

2.7

このレビューはネタバレを含みます

保守的な雰囲気を持つ田舎街「イーストウィック」を舞台に、3人のやもめの美女と、NYから来たという謎の男が引き起こす騒動を描いたホラー・コメディ。

監督は『マッドマックス』シリーズや『トワイライトゾーン/超次元の体験』の、後のオスカー(長編アニメ映画賞)監督ジョージ・ミラー。

主人公である謎の男デイル・バン・ホーンを演じるのは『カッコーの巣の上で』『シャイニング』の、レジェンド俳優ジャック・ニコルソン。
3人の美女のうちの1人、子沢山なジャーナリストであるスーキーを演じるのは『スカーフェイス』の、名優ミシェル・ファイファー。

舞台となるイーストウィック(Eastwick)はエデンの園(Eastward)のもじりなのだろう。
アダムとイブは蛇(サタン)に唆されて楽園を追放されるが、本作ではアダムと蛇を同一のものとして扱っているのが面白いところ。
男性による抑圧と支配を受ける女性の立場をカリカチュアして描き出す、フェミニズム映画としての側面も持つ作品である。
いやしかし『デッド・コーム』といい『怒りのデス・ロード』 といい、80年代から今に至るまでジョージ・ミラーのフェミニズムは一貫してますねぇ。

30代半ばのバツイチ子持ち女性の性生活という、非常にデリケートな問題を描いている。
しかしそれだけにとどまらず、「女」から「母親」へと変化する女性と、その女性に虐げられる男性という関係をブラック・コメディとして描いているところも興味深い。
女性の妊娠・出産と、それに伴い起こるカップルの関係性の変化。
家庭を顧みない旦那、そんな旦那を粗大ゴミのように扱う奥さん、こういう家庭は決して珍しくないですよねぇ多分。

なんだかんだと考えさせられる作品ではあるが、正直かなり冗長で退屈。
クライマックスは盛り上がるのだが、それまでは結構ダラダラしているので、2時間に及ぶ鑑賞はかなりツライものがある…。
クソほど気まずいテニス対決とか、あまりに容赦ない五寸釘攻撃とか、めっちゃ好きなシーンはあるんだけど全体として観るとまぁぶっちゃけつまらない映画だと思います。

とはいえ、ジャック・ニコルソン先生のぶっ飛んだ演技は最高!
もうジャック・ニコルソンが画面に映るだけで爆笑してしまう🤣
後半のニコルソン虐待シークエンスは腹を抱えて笑いました!

そして主演女優3人の趣味の良さ❤️
エキゾチックな雰囲気を持つ、黒髪のシェール。
真面目そうなんだけどエロチックな雰囲気を持つ、赤毛のスーザン・サランドン。
まさにセックスシンボルという雰囲気の、ブロンドヘアのミシェル・ファイファー。
キャラクターの性格的にもビジュアル的にもバランスが最高!
3人並ぶだけで絵になる絵になる♪
3人とも後にビッグタイトルを獲得しまくる大女優に成長する。
大女優の若きアンサンブルを堪能できるという意味では、鑑賞の価値ありまくりの一作。

いやしかし、本作のジャック・ニコルソンはどこからどう見てもジョーカーにしか見えない🃏
スーキーが呪いに苦しむ場面でジョーカーのイラストが意味ありげに映し出されていたのを見て、完全にティム・バートン版『バットマン』を意識したな!と思ったのだが、本作は『バットマン』よりも制作年が古いんですねー。
ということはこれを観たティム・バートンが『バットマン』のジョーカーにジャック・ニコルソンをキャスティングしたということかな?
何にせよ、本作を観てジャック・ニコルソンってつくづくジョーカーにハマり役だよなぁ、と思いました。

ジョーカーに魅力されていく美女といえばハーレイ・クインことハーリーン・クインゼルが思い浮かぶ。
しかしハーレイがアニメ版『バットマン』により誕生するのは本作から5年後の1992年。
デイルの言葉巧みに洗脳していくやり口なんて、完全にジョーカーがハーレイに行ったそれと一緒。
もしかしたら、本作がハーレイ・クインというキャラクターの誕生に一役買った、のかも?
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