K800

白い家の少女のK800のレビュー・感想・評価

白い家の少女(1976年製作の映画)
4.3
ジョディフォスターの圧倒的演技力

数ヶ月前にイギリスからアメリカのニューイングランドに引っ越してきたリン(ジョディ・フォスター 当時14歳)と詩人の父。2人で住んでいるようだがどうも父親の姿が見えない。
家を訪れた人から父親に合わせてくれと頼まれることが多々あるリンだが、父は書斎で仕事をしているから会うことはできないと繰り返す。また、彼女自身学校に通っていないため周りの大人から目をつけられてしまう。
リンは大人びた顔立ちだが、どこか幼さも感じる特別なオーラを纏っている。その容姿や大人びた受け答えに、ある者は毛嫌いをして、ある者は卑猥な目で彼女を見る。そんな彼女に優しく接するマリオとの出会いで彼女は人間らしさや子供らしさを取り戻していく…

ラストシーンのリンの表情がとにかく印象的。


⚠️以外ネタバレ注意⚠️

1人で生きていくことを強いられていたリンは、自然と用心深く大人びた子供になってしまっていた。周りのろくでもない大人から自分の身を守るにはそうするしかなかったからだ。孤独に生きていた彼女はマリオとの出会いで人間らしさ・子供らしさを取り戻すがそれも束の間、マリオは重い肺炎になり入院してしまう。再び孤独になったリンの元にロリコンフランクがやって来て、隠していた事がバレてしまった。だが、ラストの場面で青酸カリが入ったコーヒーを飲みフランクは死ぬ。
リンはフランクがコーヒーを交換することを予想していたのではないと思う。孤独で辛い世の中に落胆した彼女は覚悟を決め、自らの命を断つために自分のコーヒーに青酸カリを入れたが、結果的にそれをフランクが飲んだことでまたこの辛い世界に引き戻されてしまったように見えた。ラストの彼女の表情は、今まさに心が死んでいってるようだった。
境遇によって子供でいることを許されなかった少女の悲しいストーリーだった。
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