レクター博士

サンタ・サングレ/聖なる血のレクター博士のネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

同監督鑑賞二作目。
前回観たホーリーマウンテンは、
な、なんじゃこりゃ!
どっひぇー!
はうぁっ!
の連続でしたが、今作は商業映画を意識した為か、僕なんかでもそれなりに理解し、感動できました。

一般社会では生きられないマイノリティの吹き溜まりのようなサーカス団で育ったフェニックスは、母親の呪縛から逃れられず、透明人間になろうとしたり、プロレスラーに倒してもらおうと試みたりするが、それでも呪縛は解けない。

そんなフェニックスを救った聾唖の少女アルマの存在が救いだ。
母親の亡霊に操られナイフを持ったフェニックスを前にしても、聾唖であるがゆえに言葉で諭すことができないアルマは、パントマイムでフェニックスを正気に戻す。

そして幼少期のフェニックスにしたように、胸に刻まれたタトゥーに手を添え、鳥が羽ばたくパントマイムによってフェニックスは呪縛から解放される。
幻想だがそれを見守る小人のアラジンやピエロたちは本当の家族ではないが、家族愛を感じさせる。

どんな純愛映画よりも感動するシーンだった。
この二人が愛おしくて仕方がない。

DVDには監督のインタビューも収録されており、30分ほどのインタビューだが映画一本分の価値があるほどに素晴らしかった。
さぞブッ飛んだ人なのかと思いきや、映画好き少年がそのまま大人になったようなどこか親しみやすさが滲み出ていたし、マイノリティへの愛もひしひしと伝わってきた。
そして酒、タバコは一切やらないのは意外だった。
ドナルド・トランプも酒・タバコは一切やらないそうだが、狂人ほど、意外と健全な肉体、健全な精神を支えとしているのかもしれない。