Few

マン・ハントのFewのネタバレレビュー・内容・結末

マン・ハント(1941年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

フリッツ・ラングはドイツからフランス、アメリカへと亡命した監督であること、制作年を踏まえると、プロパガンダ的な要素があるのだろうとは思いつつも、それがあまり押し付けがましくないというか、仄かに香るくらいで、映画として面白い。

ドイツで捕まって、最初の拷問を受けるまでの室内の場面が多い。その時、ドアの開閉が影によって映されているのだが、開閉を影のみで見せるとここまで閉塞感と(今度はなにがくるのか)という不安感を増幅させられるらしい。ドアの開閉が画面内でのリズムを掌握しているシークエンスなんかもあって、白黒万歳映画。

無駄な要素が良くも悪くもなくて、いわゆる伏線回収も綺麗にささーっとされる。けどまあそんなことはどうでもよくて、ロマンス映画として観たとき、ちょっともう、星5以外考えられないかもしれない。
ソーンダイクとジェリーは見た感じかなり歳の差が離れているけど、ジェリーは識字能力がなく口も悪くお金もない若い女性で、ソーンダイクと身分は違うため、はじめは彼の金持ちの匂いに惹かれる。しかし共に過ごすうちに彼の紳士な振る舞いとおおらかさに惹かれはじめる。すぐいなくなってしまうという予感がありながら、必死にしがみつく恋かぁ。うむ。
ソーンダイクが逃げようとすると決まってついてこようとするから、「このヒルどうにかしてくれ」とまで言わせる。しかし最後の別れをみると、好きでしがみついていた恋でありながら、生きてまた会いたいという想いが感じられて本当に切ない。強くて優しくて、我儘な子だけど、可愛らしいな!と思わせるジェリー。
ジェリーが存在しない場所でも、ソーンダイクを最後の最後まで助け続ける。ソーンダイクの台詞もイケすぎ。めっちゃ良い恋。私もジェリーに会いたい。
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