都部

映画ドラえもん のび太の恐竜2006の都部のレビュー・感想・評価

3.3
旧劇の公開より四半世紀の時を超えて再構成された物語は、全体の端々に至るまてその描写を現代的に改修しており、また特徴的なのは作画が原作寄りであるという点だろうか。ペットとの離別という万人に向けた分かりやすい感動劇為に感動箇所を適切に脚色している印象。

のび太とピー助の交流に関してはほぼ旧劇の流れに従う形である。
強いて言えば小道具のボールの扱いが控えめになっているが、過去を舞台とした日本横断の道程をより綿密なシーンとして描くことで、人間と恐竜のロードムービーが引き起こす連帯感のようなものを旧劇以上に引き出している。若干長く感じるが、感動の為のドラマの構築と考えるとやり過ぎでもいいくらいで、実際その効果は後々に発揮される。

演出面に関しては暖かい目の下りなどは反吐が出るが、結末の一枚絵のさりげない感じだったりを踏まえると良し悪しがある印象で、今現在のエンタメの価値基準を鑑みると『物足りない』と感じるのは否めない旧劇の味付けとしてはアリなのかなと思う。ザラっとした作画の質感が作風に合っているようにも感じるし、敵役(かたきやく)である黒の男のソリッドな振る舞いに、悪党の大人と対峙する際の緊張感を与えているから最も好きなシーンは夕焼けの中で最後の交渉を行うシーンかも。

終盤〜ラストに掛けては感動の物語が展開されるが、子供達を残したタイムパトロールの不自然な撤収にちょっと笑ってしまう(ピー助と共に目的地に辿り着く構図をやりたいのは理解できるけれども)
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