元スターの名誉欲か、それとも我が子を思う母の愛か。出産を期に歌えなくなり零落したオペラ歌手が殺人事件の目撃者であると騙り再び世に出ようと画策するがそのせいで実の息子が無実の罪を着せられてしまう。息子との関係はキャリアを台無しにしたとの思いから一方的に破綻していたが、彼女の奥底に潜む母親としての慈愛がすんでのところで蘇る。殺されるおっさんってのが金に物言わせて新進女優に唾つけようって言うなんともな奴であるが、真珠のネックレスで書いたハートを上手い具合に＄へと持っていく女優の方が一枚上手である。にしたっておかん、いくらアル中だからってアルコール60%配合のヘアトニックを飲もうとしなくてもいいじゃない、工業用アルコールいく酔拳2のジャッキー・チェンの先駆けをここで見る。

元オペラ歌手今アル中の女が事件の犯人を目撃したと嘘をつき再び世に出ようとする話。面白い。
事件現場へヨタヨタ歩く場面で後ろから鵞鳥が延々とついて来るショットが良い。エステの場面の顔肉ぺちゃぺちゃとアロマオイルにアルコールが入ってるので飲む場面はさすがに笑う。

ルイーズ・ドレッサーの腐りきった人生が集約されたような汚部屋の造形が圧巻。
ジャック・ピックフォードが婚姻することすら母に罵倒されて力なく部屋を出るシークエンスが素晴らしい。ドレッサーの迫力な悪態、汚部屋、実直なピックフォードのうなだれる演技、全ての要素が見事に結合した渾身のショット。