イルーナ

クール・ランニングのイルーナのレビュー・感想・評価

クール・ランニング(1993年製作の映画)
4.2
カリブ海の南国ジャマイカの、カルガリー五輪4人乗りボブスレー出場という奇想天外な挑戦を描いた名作。
北京冬季五輪開催中の放送で何ともタイムリーですが、さらに調べたら、ジャマイカの4人乗りボブスレーの出場は長野五輪以来24年ぶりとのこと。
金曜ロードショー、なおさらタイムリーで粋なチョイスです。

挫折した4人と、訳アリの過去を持つ元名選手のコーチがひょんなことからボブスレーに挑戦することに。
その挫折からわずか1分でボブスレー出場を決意し、本編開始からわずか20分でチーム結成という、圧倒的なテンポの良さ。
立ち直るのめっちゃ早っ!と驚いたけど、こうやって数字で表されると中々衝撃的。
最近のメジャー大作が2時間超えは当たり前、3時間近いのもザラの長尺であることを考えるとなおさら。

ストーリーも、

・奇想天外な挑戦から周りからバカにされまくるけど、そのひたむきな姿勢が道を切り開いていく

・バラバラだったメンバーが一丸となっていく

・勇気を身につけていく臆病者

・不正には敢然と立ち向かう

・他者の長所を真似るばかりでなく、自分たちの長所を大切にしよう

・優勝するよりも大切なことを見つける

など、まさに王道を完璧に仕上げた作りとなっております。
スポーツものにありがちな、挫折や怪我などによる悲壮な展開もなく、終始楽しくて爽やかな作風。
やはりこれは南国舞台だからなせる作風なのでしょうか。
私にはこれくらいがちょうどいいかな。観ていてとても気持ちいい。
文化の違いというのも見どころで、プッシュカート・ダービーはもちろん、ギャグとして描かれたとはいえキスだけで仕事が一応成り立っていたのが衝撃的だった。
そしてラストのソリを担いでゴールに向かう所は、まさに「参加することに意義がある」という根源を思い出させてくれます。

それにしても、雪すらない常夏のジャマイカと極寒のカルガリーの組み合わせは何とも不思議。
気温差50度(!)という落差で撮影も大変だったとか。
タイトルも「クールに走るぜ!」みたいなニュアンスかと思ったら「穏やかなる旅路」「いい旅を」と結構意外な意味だった。
彼らにとっては間違いなく「いい旅」だったでしょうね。
イルーナ

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