まる

エレファントのまるのレビュー・感想・評価

エレファント(2003年製作の映画)
3.7
何が起こるのか分かった上で見ているからこその不安と緊迫感。
ただの日常の平和な高校生活。来るか、来るか、とこの高校の未来を知る観客だけが緊張する。

カメラの撮り方がとても秀逸で、ただ静かに彼らを見守る視点からは、いつカメラに映るこの高校生が撃たれるのか、惨劇が始まってしまうのかと不安になる。
ナレーションもドラマチックなセリフもなく、彼らの普通の言動一つ一つで確かにその日まで明るくも暗くも日常を生きていたのだと知らされる。明日は誰にもわからないし、まさに無常だ。月光の切なさ美しさが無常感を引き立てる効果を発揮している。

ラストの銃撃シーンは劇的な音楽も、派手な殺人カットもない。
簡単に手に入る銃、ゲームのような殺人、無くならない銃撃事件。
銃社会の中で、このような事件は普通でないにせよ身近なものなんだと再認識する。
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