青二歳

家光と彦左の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

家光と彦左(1941年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

1941年東宝。マキノも天下のご意見番を撮ってたのか。長谷川一夫の家光にロッパの大久保彦左衛門。もはや家光彦左となればキャラ萌え映画だ。可愛い。
威厳うるわしい月形龍之介のご意見番をみた後だと、もうただの好々爺。さらに言えば壮絶に面倒臭いご意見番だな。切腹を盾にご世嗣ぎ決定を迫るなんてそれだけみると脅迫だし老害もいいところ。まぁご意見番は江戸時代からフィクションにおいて「徳川の泰平をひたすら願う慧眼の人徳者で、家康公亡きあとの幕藩体制を固めるため後進の幕臣たちの間違いを糾したり若き家光公を支える良心」というキャラクターが確立しているから、ひねくれた目で見ちゃうとつまらない。素直にこのクドいキャラクターを愛でよう。まあ幕臣(黒川弥太郎)からしたら目の上のこぶだろうけども。実質的な天下のご意見番は天海僧正でしたな。

竹千代に林成年が。長谷川一夫と親子共演。ガキながら可愛くないな…長じてイケメンになるのにその面影なし。静御前に藤間紫とあったが分からず。

長谷川一夫の家光公は…なんだろうな。アイドルなんで善玉の君主で"君臣の情"はいいんですけども、暗君の振りをしてあげた上に、とにかく甘ったるい例の声で彦左衛門に甘えてあげるんですが…今じゃBLかってツッコミも致し方ないイチャコラっぷりでなんと言ったら良いやら( ´・᷄ὢ・᷅)いい大人が何やってんですか。
他、さすが長谷川一夫の家光さらにまさかの日舞長回し。踊る征夷大将軍(踊るさんま御殿の音楽を鳴らして)。自信なきゃ出来ませんねえ。よたよたのロッパとからんだ日舞なんてコミカルで楽しい。貴重。やっぱりきれいだ長谷川一夫。ゲェ!うわぁ…日舞だけでもここまで踊れるのすごいのに一人二役で“船弁慶”の知盛まで舞いよる…( ・᷄д・᷅ )
世間でやたらめったら評判の高い役者は得てしてどこがいいのか?と思ってしまう事もあるが、長谷川一夫は観るたびに納得。踊れる役者、ひいては所作の美しい役者には否応なく平伏してしまう。大根役者って言った監督は誰だっけ(。-∀-)その評価も分かるんですけども。

お話のメインでないのに大坂夏の陣の合戦や富士山をバックにした上洛の行列…このためだけに撮ったのか、何か別のフィルムの使い回しか…うーんすごい。宇都宮城はセットらしい。えー…発破かけとりますけども。爆破しとりますけども。もう円谷さんが活躍してる頃なのに…ミニチュアでやる発想はなかったのかい。なんだかもうすごいな。
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