マーくんパパ

日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声のマーくんパパのレビュー・感想・評価

3.4
戦後初の国内反戦映画との位置付けらしい。学徒出陣して各地に散った戦没者の手記を集めて出版したものから抜粋して敗戦濃厚なフィリピン前線部隊の疲弊と空腹極まった負傷兵や横暴な指揮官らの姿を炙り出している。無益な戦いに駆り出された若者下等兵の過酷な扱いと無念さ、戦争末期の大義の無い戦いを続けた軍部や階級特権を貪る上官たちへの無言の批判が込められている。この後、人肉まで喰らうより過酷で強烈な描写の市川崑『野火』が作られる事になる。