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100歳の少年と12通の手紙の一人旅のレビュー・感想・評価

100歳の少年と12通の手紙(2009年製作の映画)
3.0
エリック=エマニュエル・シュミット監督作。

フランスの劇作家:エリック=エマニュエル・シュミットによる2002年発表のベストセラー小説を原作者のシュミット自らが映画化したドラマ映画で、白血病の少年と宅配ピザの女主人の交流を描きます。

末期の白血病により小児病棟で暮らしている10歳の少年:オスカーと、彼が唯一心を許している宅配ピザの口の悪い女主人:ローズとの交流と絆を描いた作品です。

いわゆる難病モノにジャンルされる作品ではありますが、安易なお涙頂戴とは一線を画した作劇にフランス映画の底力を感じさせる映画です。病気や死というものを悲劇的&感傷的に描くのではなく、少年と歳の離れた中年女性との深い絆の形成を劇中しばしば挿入されるファンタジックな夢想シーンを交えユーモラスに綴った作品で、死を目前とした少年の最期のひと時を悲観的とは真逆の明るさとユーモアで描いて、生の歓びと人生の本質を寓話的に浮かび上がらせた異色のドラマとなっています。

主演のアミールとミシェル・ラロックが病室で心を通わす二人を好演していますし、病院長に扮したマックス・フォン・シドーも流石の存在感を示しています。
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