りっく

ジャッキー・ブラウンのりっくのレビュー・感想・評価

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)
3.7
現金受け渡しの見せ場に大型ショッピングモールを選択したのが正解。
出口はどっち?車は駐車場のどこ?
そうやって苛々しながら歩いた体験が、キャラクターにシンクロする。
不意に会いたくない人間が前から歩いてきて、関係ない店で身を隠す。
あるいは、ちょっとした時間を潰すために、興味のない洋服をいじる。
こういう気の効いた細部が、イチイチ腑に落ちてくる。

登場人物たちが歩く姿を、ワンカットで映す画が印象的。
オープニングでパム・グリアーが空港を歩いていく姿を、横から捉える。
あるいは、ショッピングモールを歩き回る様を、正面から捉える。
歩く姿がいちいち様になるキャラクターたちが素晴らしい。

駄話が多すぎて、2時間35分もかかってしまっている。
監視カメラを調べれば一発で分かることだと突っ込みを入れたくもなる。
ただ、決して嘘をつかないパム・グリアーの真意が分からないため、グイグイ物語に引き込まれる。
最大の山場も、同じ時間軸をキャラクター毎に3回繰り返すにもかかわらず、全く停滞していない。
初期作品からゼロ年代以降への過渡期にあたる、タランティーノの意欲作。
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