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ザ・ロイヤル・テネンバウムズのmanamiのレビュー・感想・評価

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ウェスアンダーソン3作目を再鑑賞。
ジーンハックマン演じるロイヤル・テネンバウムとその家族、そして周囲の人々。3人の子ども達がそれぞれの才能を発揮し天才児としてもてはやされた時期もあったが、今はもつれてこじれて行き詰まってしまっている。
ある日、長男チャスが自宅のセキュリティに不安があると言い出し、実家に戻って来る。長女マーゴも夫婦関係がうまくいかず、こちらも実家へと。次男リッチーも父に関する知らせを受け取って、以下同文。というわけで、きょうだいが17年ぶりに母エスリーンのもとに集まることとなる。
登場人物の現状はそれぞれ大変そうだけど、マーゴの半生がとりわけ壮絶ね。養女としてテネンバウム家に加わり、劇作家、家出、指、タバコ、弟との関係。独特なセンスを持つ幼馴染のイーライ。いろいろ超越した恋愛遍歴。波瀾万丈すぎんかい。そしてグウィネスパルトロウが美しくて惚れ惚れしちゃうよ。ミニ丈ポロワンピが世界一似合うわ。
父に厳しく育てられた長男と、甘やかされていた次男、ってのもあるある。一度こんがらがってしまうと、家族だからこそ修復が難しいってのもまた然り。コメディ調ではあるけど、描かれている問題はなかなか根深く深刻なものばかりね。
「馬鹿なことをするのはよせ、天才らしくない」「…違ったのよ」このなにげない会話が、この家族と彼らに関わる人々の辛さや悲しみを表している。他の会話も「センスが良いってこういうこと」って唸らされるような言葉のチョイス、テンポ。
それから「彼は口にしてみて初めて、それが本当であることに気付いた」というナレーションも、その前のロイヤルの一言も合わせて印象的。そういうことって確かにあるよね、自分の本心を自身の発言で発見するってさ。
結婚式当日のドタバタで「家の裏に日本大使館があるのね」からの、流れて行く映像が楽しい。が、バックリーの扱いには遺憾の意を表したい。

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